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経理の効率化ツール|入れる順番を間違えると、かえって手間が増える

キーワード: 経理 効率化 ツール | シメゴ(運営: Never Red株式会社)

「経費精算のツールを入れたんですが、経理の残業が減っていません」。この相談を、私はけっこうな回数受けています。しかも入れたツールは間違っていないことがほとんどです。製品選びで失敗しているのではなく、そもそもツールが減らせない部分に、時間が溶けているのです。

先に結論を書きます。経理ツールが減らすのは入力です。経理の時間が実際に消えているのは照合と確認です。ここがずれている限り、何を入れても体感は変わりません。この記事では、5分類ごとに「何が減って、何が残るのか」を分けたうえで、入れる順番と、導入で必ず増える手間まで書きます。

この記事はツールの製品比較ではありません。どのツールが優れているかではなく、自社にとって「どれを、どの順で入れると効くのか」を決めるための整理です。業務そのものの見直し方は経理業務の効率化に、より広い全体像は経理のDXにまとめています。

入れる前に、3つの数字を測る

ツール選定より先にやることがあります。今の時間がどこに使われているかを、1か月だけ実測してください。感覚ではなく、数字です。私がお願いしているのは次の3つだけです。

測るもの測り方これが大きいと効くツール
入力に使っている時間通帳・クレジット明細・領収書を会計ソフトに打ち込んでいる時間。1日分を計って月の日数を掛ける程度で十分会計ソフトの銀行・カード連携、経費精算
集めるのに使っている時間「領収書ください」「この請求書は何の費用ですか」と社内に催促している時間。メールとチャットの往復回数で代用できます経費精算、請求書受領
照合に使っている時間入金と請求の突合、残高の不一致を追う時間。締めの後半に発生するものはだいたいこれです請求書発行・債権管理(ただし効き方は限定的)

この3つを出すと、たいていの会社で2つめの「集める時間」が一番大きいという結果になります。入力そのものは実はもう短い。経理担当が遅くまで残っているのは、打ち込んでいるからではなく、他の人から出てこない資料を待っているからです。ここを見ずに会計ソフトを乗り換えても、待ち時間は1分も減りません。

経理ツール5分類:何が減って、何が残るか

経理まわりのツールは、細かく見ればきりがありませんが、役割で分けると5つです。それぞれ「減るもの」と「残るもの」を並べます。残る側の欄が、導入後に残業として残る部分です。

分類減るもの残るもの(ツールでは消えない)
会計ソフト(クラウド)通帳・カード明細の手入力。仕訳の候補が自動で出るので、打つ作業はかなり減る費目の判断。「これは会議費か交際費か」「資産計上か費用か」は最後まで人が決めます
経費精算紙の申請書の回収と、承認印の追いかけ。申請者が自分でスマホから出すため、集める時間が直接減る規程との照合。上限を超えた申請、目的が書かれていない申請の差し戻しは残ります
請求書発行毎月の請求書作成と送付。取引先ごとの雛形と単価を持たせれば、発行日にまとめて出せる金額の元になる数量・稼働の確定。ここが営業側から出てこないと、ツールがあっても発行できません
請求書受領・支払受け取った請求書の仕分けと、振込データの作成。支払期日の管理も一元化できる誰が承認するかの取り決め。承認者が不在のときの回し方は、ツールの外で決める必要があります
給与計算勤怠から給与への転記と、控除計算。年末調整の書類回収も電子化できる就業規則に沿った例外の判断。中途入退社、休職、手当の個別対応は人が見ます

並べてみると分かりますが、残る側はどれも「判断」と「他部署からの入力待ち」です。つまりツールを入れて残るのは、経理の中でいちばん時間の読めない部分だけになります。だからこそ、導入前に楽になる幅を見積もっておかないと「入れたのに変わらない」という感想になります。

入れる順番

複数を同時に入れるのは、まず失敗します。私が勧めている順番は次の4段階です。上から順に入れると、下の段階が軽くなります。

1|データが発生する場所から入れる

経理の下流(会計ソフト)から手をつけたくなりますが、逆です。データが生まれる場所、つまり経費精算と請求書の入り口を先に押さえます。理由は単純で、入り口が紙のままだと、下流をどれだけ電子化しても、誰かが必ず一度手で打ち直すからです。

実務でいうと、社員が10名を超えていて経費精算が紙なら、ここが最優先です。経費精算の代行でも書きましたが、経理が精算に使っている時間の大半は計算ではなく、出てこない領収書の催促です。申請を各自のスマホに移すだけで、この往復が消えます。

2|連携できるものだけを選ぶ

単体の機能で選ばないでください。判断基準は「今使っている会計ソフトに、仕訳として自動で流れるか」の一点です。ここが繋がっていないと、ツールから出力したCSVを整えて取り込む作業が新しく発生します。私はこの「CSVを整える係」が生まれた現場を何度も見ています。効率化のはずが、担当者が1人分の新しい作業を抱えます。

確認の仕方も具体的に書いておきます。営業担当に「連携できます」ではなく「連携したあと、こちらで手を入れる項目はどれですか」と聞いてください。部門やプロジェクトの情報は連携対象外、というケースが実際にあります。管理会計で部門別に見ている会社は、ここで詰まります。

3|承認の流れを、ツールに合わせて決め直す

ここを飛ばす会社がとても多いです。ツールには承認フローの機能が付いていますが、今の承認のやり方をそのまま写すと、たいてい動きません。紙のときは「不在なら口頭で確認して押しておく」という運用が効いていたからです。電子化すると、その抜け道が無くなります。

決めておくのは3つです。誰が承認するか、その人が不在のとき誰が代わるか、いくらから上位の承認が要るか。この3つを先に紙に書いてから設定してください。順序を逆にすると、設定と実態が合わずに承認が滞留します。業務の並べ方は経理業務のフローを土台にすると早いです。

4|最後に、見るための仕組み

ダッシュボードや分析機能は最後です。1〜3が整うと、数字が出てくる速度が上がります。そこで初めて、見るための道具が意味を持ちます。入力が遅い状態で分析ツールを入れても、見えるのは先月の途中までの数字です

導入すると、必ず増える3つの手間

提案書には書かれない部分です。あらかじめ織り込んでおくと、途中で止まりません。

もうひとつ、電子帳簿保存法に沿った保存を前提にする場合は、要件を満たす設定になっているかの確認が別途必要です。ツールを入れれば自動的に適合するとは限りません。考え方は電子帳簿保存法と経理に整理しました。

ツールで解決しない場合の見分け方

次のどれかに当てはまるなら、ツールより先に手をつけるところがあります。

状況ツールを入れるとどうなるか先にやること
経理が1名で、その人が全部やっている設定と移行を回す人がいないので、導入自体が止まる業務を行に分け、外に出せる行を決める
締めが遅い原因が、他部署からの資料の遅れ経理の中は速くなるが、締め日は変わらない提出期限と、遅れたときの扱いを社内で決める
取引先ごとの例外が多い例外が全部ツールの外に出て、二重管理になる例外を洗い出し、統一できるものを減らす
そもそも何にどれだけ時間が掛かっているか分からない効果を測れないので、入れ替えを繰り返す冒頭の3つの数字を1か月測る

シメゴの考え方:ツールと外注は、どちらかではない

経理代行をやっている立場からすると、「ツールを入れるか、外注するか」という二択で相談されることがよくあります。ただ実務では、この2つは競合しません。ツールは作業を減らし、外注は作業を持つ人を変えるものだからです

私たちがお預かりする場合も、まずクラウド会計と銀行・カード連携は設定します。そのうえで、日々の記帳と支払データの作成をこちらで持ちます。会社側に残るのは、承認と例外の判断です。ツールの導入と運用の負担だけをこちらが引き受ける形、と言ったほうが近いかもしれません。実際、導入で一番きついのは選定ではなく、最初の3か月の並行期間です。

逆に、社内に回す人がいる会社であれば、ツールを入れて内製したほうが安く済むこともあります。判断材料は経理の内製化クラウド会計と経理代行に整理しました。私たちに出すことが常に正解だとは思っていません。

まとめ

経理の効率化ツールが減らすのは入力です。判断と、他部署を待つ時間は残ります。だから、まず1か月測って、自社の時間がどちらに寄っているかを確かめてください。

入れる順番は、データが発生する入り口から、連携できるものだけを、承認の決め直しとセットで、最後に見るための仕組み。この順です。そして導入初期は一時的に作業が増えます。締めの直前に始めないでください。

1名体制で回す人がいない、何から測ればいいか分からない。その段階からで構いません。無料コスト診断で今の業務と体制を伺い、ツールで減る行と、人が持つしかない行を分けた表をお作りします。入れる順番も一緒に決めましょう。

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ツールを入れるべきか、任せたほうが早いか。今の業務を見てから判断しましょう。

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※本記事は一般的な実務の整理であり、特定の製品・体制の適合性や、電子帳簿保存法をはじめとする各種制度要件への適合を保証するものではありません。制度対応の可否は最新の要件と各製品の仕様をご確認のうえ、決算・申告に関する最終的な判断は顧問税理士にご相談ください。