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経理の年間スケジュール|忙しいのは月次ではなく、年に一度の仕事が重なる月です

キーワード: 経理 年間スケジュール | シメゴ(運営: Never Red株式会社)

「うちの経理、特定の月だけ極端に忙しくなるんです」。この相談を毎年いただきます。話を聞いていくと、忙しさの原因が月次決算にあることは、実はあまりありません。年に一度しか来ない仕事が、たまたま同じ月に3つ4つ重なっている。それだけのことが多いです。

先に結論を書きます。経理の年間スケジュールを作る目的は、やることを網羅した一覧を作ることではありません。年次の仕事を「期限」ではなく「着手日」で並べ直し、重なっている月を先に見つけることです。期限だけを書いた表は、毎年ちゃんと守れなかった理由を後から確認するためにしか使えません。

この記事は月次の外側にある年次の仕事をどう置くかに絞っています。毎月の処理の順番そのものは月次決算のやり方に、工程のつなぎ目の設計は経理業務フローの作り方にまとめました。

年間スケジュールは「毎月やること」の表ではない

ネット上のテンプレートを見ると、1月から12月まで各月に「記帳」「請求書発行」「給与計算」と並んでいるものがあります。これは年間スケジュールではなく、月次の業務一覧を12回コピーしたものです。作っても何も変わりません。

年間スケジュールで見たいのは、毎月出てくる仕事の上に、どの月だけ荷物が乗るかです。乗る荷物は決まっています。決算と申告、年末調整、法定調書と給与支払報告書、償却資産の申告、労働保険の年度更新、社会保険の算定基礎届、住民税の税額切替、棚卸、賞与。会社によってはこれに監査や株主総会が加わります。

これらは全部、年に1回か2回しか来ないので、担当者の記憶に残りません。去年やったのに、今年また一から調べ直す。この繰り返しが、年次業務が毎回バタバタする本当の理由です。

まず「決算月」を基準に置き直す

ここでよくある失敗があります。3月決算を前提にしたスケジュール表をそのまま自社に当てはめてしまうことです。日本の会社の決算月は3月が最も多いのですが、当然ながら全社ではありません。決算まわりの予定は暦の月ではなく、決算月からの相対で持つべきです。

私が使っているのは、次の2層に分ける持ち方です。

基準入るもの
会社の期に紐づく層決算月を基準にした相対(決算月、決算月+1、+2…)棚卸、決算整理、決算書の作成、法人税等の申告と納付、中間申告、株主総会、税務署等への届出
暦に紐づく層1月〜12月の固定年末調整、法定調書合計表、給与支払報告書、償却資産の申告、労働保険の年度更新、算定基礎届、住民税の税額切替

この2層を1枚に重ねると、自社にとって荷物が集中する月が見えます。3月決算の会社なら5月と7月と1月、12月決算の会社なら2月と1月と7月のように、会社ごとに山の位置が違います。ここを把握しないまま人員配置を考えると、毎年同じ月に残業が出ます。

期に紐づくもの(決算月を「X月」として)

時期やること実務の要点
X月の1〜2か月前決算の着地見込みを作るここで数字を見ておかないと、決算月に入ってから打てる手がほとんど無くなる
X月末実地棚卸、締めのアナウンス取引先への締め日の連絡は前月中に。当月に言っても間に合わない
X+1月決算整理、決算書のたたき作成顧問税理士とのやり取りが一番増える月。資料の受け渡し方法を先に決めておく
X+2月法人税・地方税・消費税の申告と納付申告期限は原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内。納税資金の手当は前月に確認しておく
X+6〜8月中間申告・中間納付前期の納税額によって要否や回数が変わる。自社に何が来るかは顧問税理士に確認

この表で一番飛ばされやすいのが、一番上の「1〜2か月前の着地見込み」です。ここが無い会社は、決算が終わってから利益額を知ることになります。納税資金の話も同じで、申告の月に初めて金額を知ると、資金繰りが間に合わないことがあります。資金の見通しの立て方は資金繰り表の作り方に書きました。

暦に紐づくもの

時期やること実務の要点
11月ごろ年末調整の書類配布と回収ここが本体。12月に慌てる会社は、11月に配っていないだけのことが多い
12月年末調整の計算、給与への反映回収できていない人を追いかける時間を必ず見込む
1月法定調書合計表、給与支払報告書、償却資産の申告いずれも1月31日が期限。3つが同じ月に来るので、年間で最も詰まりやすい
5月ごろ住民税の特別徴収税額の通知が届く6月支給分の給与から新しい税額になる。反映漏れが起きやすい
6月〜7月10日労働保険の年度更新提出と納付の期限が7月10日。賃金集計に時間がかかる
7月10日まで社会保険の算定基礎届労働保険と同じ時期に来る。給与データの集計は共通なので一緒に片づける

並べると分かりますが、1月と7月は、決算月と関係なく全社共通で重い月です。ここに自社の決算関連が重なる会社(12月決算・5月決算あたり)は、その月だけ人が足りなくなります。年間スケジュールを作る一番の実利は、これを毎年ではなく一度で把握できることです。

なお、ここに挙げた期限や手続は制度改正で変わります。また、税務申告そのものの代理は税理士の独占業務です。自社に何がいつ必要かの最終確認は、顧問税理士と社会保険労務士にお願いしてください。この記事は、社内で予定を組み立てるための骨格として書いています。

作り方の手順:ゼロから作らない

年間スケジュールを白紙から作ろうとすると、必ず抜けが出ます。私がお勧めしているのは、去年の実績から拾う方法です。手順は4つです。

① 去年1年間に「実際に起きたこと」を月に書き出す

使う材料は3つ。共有カレンダー、経理担当者のメール送受信、そして預金通帳の出金です。特に通帳が効きます。年に1回しかない出金は、年次業務の跡そのものです。労働保険料、法人税、償却資産税、更新料、保険料。通帳を1年分めくれば、記憶に頼らずに年次イベントが出てきます。

この作業は、慣れていれば2〜3時間で終わります。網羅性を求めて完璧を狙うより、まず去年分を出し切るほうが早いです。

② 期限ではなく「着手日」を置く

ここが最大のポイントです。年末調整の欄に「12月」と書いた表は使えません。実際に動き出すのは11月です。労働保険の年度更新も、期限は7月10日ですが、賃金の集計はその前に終わっていないと間に合いません。

だから表には期限日と着手日の2列を持たせてください。着手日は「期限から逆算して何日必要か」で置きます。去年かかった日数を覚えていないなら、今年やりながら記録すれば来年から使えます。

③ 誰がやるかを書く

年次業務は、担当が曖昧なまま「気づいた人がやる」になっている会社が多いです。毎月の仕事は担当が決まっているのに、年1回の仕事だけ決まっていない。これが抜けの原因になります。社内の誰か・顧問税理士・社会保険労務士・シメゴのような外部、のどれが手を動かすのかを1列で持ってください

④ 会社固有の予定を足す

ここまでは制度の予定です。最後に自社だけの予定を足します。株主総会、取締役会、事業年度の予算編成、保険や賃貸借契約の更新月、システムの年間ライセンス更新、監査法人の往査。契約の更新月は特に忘れられがちで、気づいたら自動更新されていた、という相談をよく受けます

作った表をどう運用するか

年間スケジュールは、作って壁に貼ると満足してしまう成果物の代表です。実際に効かせるには、月次の運用に接続する必要があります。私が現場でやっているのは次の2つだけです。

逆にやらなくていいのは、精緻なガントチャートを作ることです。年次業務は年に1回しか回らないので、細かく作り込んでも検証が1年後にしかできません。A4で1枚、12行の表で十分です。1枚に収める考え方は経理マニュアルの作り方と同じです。

社内に残すもの、外に出せるもの

年間スケジュールを作ると、次に出てくるのが「どこまで外に出せるか」という話です。正直に整理します。

仕事外に出しやすさ理由
年末調整の書類回収と督促出しにくい従業員に直接連絡する必要があり、社内の人が言ったほうが早い
年末調整の計算出せるデータが揃えば計算は外でできる。給与計算とセットで委託する形が一般的
法定調書・給与支払報告書の作成出せる年間の給与データから機械的に作れる
実地棚卸出せない現物を数える作業は現場でしかできない
決算整理仕訳・決算書のたたき出せるただし引当や見積の判断は会社が決める。数字を作る作業と判断は分けて考える
税務申告税理士の領域申告書の作成・提出の代理は税理士の独占業務。経理代行の範囲ではない

この表を見ていただくと分かるとおり、年次業務のうち「人に声をかける仕事」と「現物を見る仕事」は社内に残ります。外に出せるのは、データが揃った後の処理です。だから外注しても、年末調整の時期に社内の手が完全に空くことはありません。ここを期待して契約すると、期待外れになります。委託範囲の考え方は経理の丸投げの範囲に詳しく書きました。

シメゴの考え方

私たちがお客様の経理をお預かりするとき、最初の月に必ず作るのがこの年間スケジュールです。理由は単純で、私たちが引き継いだ後の11月に「実は年末調整もお願いできますか」と言われても、そこから体制は組めないからです。何がいつ来るかを両者で先に合意しておかないと、年次のたびに揉めます。

正直に書くと、この表は外注しなくても作れます。通帳を1年分めくって、カレンダーを見返して、12行書くだけです。社内で半日あれば作れるので、これ自体にお金をかける必要はありません。実際、作った時点で「思ったほど詰まっていなかった」と分かる会社もあります。

私たちが引き受けているのは、その表のうち月次に落ちてくる部分を毎月回し、年次イベントの2か月前に「そろそろです」とお伝えするところです。思い出す役を外に置くと、年次の抜けはほぼ無くなります。逆に言えば、それができる人が社内にいるなら、外注する理由は薄いと思っています。

まとめ

経理の年間スケジュールは、毎月の仕事を12回並べた表ではありません。年に一度しか来ない仕事を、期限ではなく着手日で置き直し、重なる月を先に見つけるための表です。

作り方は4つ。①去年の共有カレンダー・メール・通帳から、実際に起きたことを月ごとに書き出す。②期限日と着手日を2列で持つ。③誰が手を動かすかを1列で決める。④株主総会や契約更新など自社固有の予定を足す。

そして、決算に紐づくものは決算月からの相対で、年末調整や労働保険のように暦に紐づくものは固定の月で、2層に分けて持ってください。1月と7月は決算月に関係なく重い月なので、そこに自社の決算関連が乗る会社は、人の配置を先に考えておく価値があります。

運用は、月次報告の最後に翌月の年次イベントを1行入れるだけで足ります。年間表を別ファイルで持っても、誰も開きません。

直近1年分の通帳と共有カレンダーを拝見できれば、御社の年間スケジュールの骨格はその日のうちに1枚になります。無料コスト診断で、どの月に荷物が集中しているか、そのうち外に出せる工程がどれかを整理してお返しします。

記帳〜月次レポートを月5万円から。まず年間の山がどこにあるかの棚卸しから入ります。

整理の結果、社内で十分回ると判断されるなら、それが正解だと思います。

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※本記事は一般的な実務の整理であり、記載した期限・手続の内容を保証するものではありません。制度改正により取扱いが変わることがあります。税務申告書の作成・提出の代理は税理士、社会保険・労働保険の手続の代行は社会保険労務士の業務です。自社に必要な手続とその期限については、顧問税理士・社会保険労務士にご確認ください。